大分地方裁判所 昭和43年(わ)77号 判決 1971年2月24日
本籍
北九州市小倉区大字高野一〇四二番地の八
住居
大分県日田市玉川町六六七番の二
会社役員
間瀬四郎
昭和五年三月二日生
本籍
名古屋市瑞穂区船原町三丁目八番地
住居
日田市三本松一丁目一三番二六号
会社役員
間瀬五郎
昭和一〇年八月一〇日生
右の者らに対する各所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官堀口勝正出席のうえ審理し次のとおり判決する。
主文
被告人両名を各懲役四月および罰金一〇〇万円にそれぞれ処する。
被告らにおいて、右罰金を完納できないときは、各金二、〇〇〇円を一日に換算した期間、被告人らを労役場にそれぞれ留置する。
被告人両名に対し、本裁判確定の日から各二年間右懲役刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、被告人両名の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人両名は、日田市所在日田明治会館(昭和三六年七月開店)、ラツキーホール(昭和三八年四月開店、同四〇年六月閉店)、日田東栄会館(昭和四〇年六月開店)、大分市所在大分明治会館(昭和四〇年二月開店)においてパチンコ遊技場を共同で経営し、収益の六〇%を被告人四郎が、同四〇%を被告人五郎が取得していたものであるが、共謀のうえ、それぞれの所得税を免れようと企て、各売上収入の一部を簿外預金にするなどしたうえ、
第一、(一) 昭和三九年分の被告人間瀬四郎の課税所得金額は一、八二三万七、〇〇〇円(総所得金額一、八六〇万三、一六一円)、これに対する所得税額は八六七万八、三五〇円であつたのに、昭和四〇年三月一〇日所轄日田税務署において、同署長に対し、課税所得金額二六五万五、一一四円(総所得金額三〇二万一、二六四円、所得税額七一万四〇円である旨記載した虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規税額との差額七九六万八、三一〇円を法定納期限までに納付せず、もつて不正の行為により右同額の所得税を免れ
(二) 昭和三九年分の被告人間瀬五郎の課税所得金額は一、二一五万二、〇〇〇円(総所得金額は一、二四〇万二、一〇七円)、これに対する所得税額は五三三万一、六〇〇円であつたのに、昭和四〇年三月一三日所轄日田税務署において、同署長に対し、課税所得金額一一四万九、〇〇〇円(総所得金額一三九万八、四〇六円)、所得税額二一万二五〇円である旨記載した虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規税額一二万一、三五〇円を法定納期限までに納付せず、もつて不正の行為により右同額の所得税を免れ
第二、(一) 昭和四〇年分の被告人間瀬四郎の課税所得金額は一、三八六万五、〇〇〇円(総所得金額は一、四二九万二三六円)、これに対する所得税額は六二七万三、六一〇円であつたのに、昭和四一年三月一四日所轄日田税務署において、同署長に対し、課税所得金額四五八万三、八〇〇円(総所得金額五〇〇万八、七六九円)所得税額一五一万七一〇円である旨記載した虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規税額との差額四七六万二、九〇〇円決定納期限までに納付せず、もつて不正の行為により同額の所得税を免れ
(二) 昭和四〇年分の被告人間瀬五郎の課税所得金額は九二一万五、〇〇〇円(総所得金額は九五二万六、八二五円)これに対する所得税額は三七五万五、五〇〇円であつたのに、昭和四一年三月一四日、所轄日田税務署において、同署長に対し、課税所得金額六三万三、五〇〇円(総所得金額九四万五、〇八一円)、所得税額八万九、〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、正規税額との差額三六六万六、五〇〇円を法定納期限までに納付せず、もつて不正の行為により同額の所得税を免れ
たものである。(なお所得の内容および税額計算は、別紙各貸借対照表および各税額計算書記載のとおりである。)
(証拠の標目)
一、間瀬四郎の大蔵事務官に対する質問てん末書一八通および検察官に対する供述調書三通
一、間瀬五郎の大蔵事務官に対する質問てん末書六通および検察官に対する供述調書二通、検察事務官に対する供述調書
一、石松利雄、久保田邦男の検察官に対する各供述調書
一、鷲見孝史の検察官に対する供述調書二通
一、大蔵事務官橋口俊一作成の報告書
一、服部博行の大蔵事務官に対する質問てん末書三通
一、蒲原芳男作成の上申書および証明書二通
一、深野義泰の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、三浦多喜雄昨成の定期預金および利息支払明細書
一、深山ムラ子の検察官に対する供述調書
一、有富清の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、大蔵事務官橋口俊一作成のラツキーホール買収関係調書
一、浅井三郎の大蔵事務官に対する質問てん末書二通
一、佐藤賢作成の証明書
一、藤井国義の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、杉原義雄の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官橋口俊一作成の減価償却資産の償却額の計算調書
一、右同人作成の北九州個人借入金関係調書
一、所得税確定申告書四枚(昭和四三年押第八四号の一ないし四)
一、青色決算書類二綴(同五、六)、元帳五冊(同九、一〇、一四ないし一六)、普通預金元帳七九枚(同一七、)同元帳二枚(同一八)、同元帳二三枚(同一九)、通知預金元帳一枚(同二〇)、定期積金元帳五枚(同二一)、普通預金元帳二綴(同二二、二三)、同元帳九枚(同二四)、定期預金元帳八九枚(同二五)、同元帳一六枚(二六)、同元帳三枚(同二七)、同元帳三九枚(同二八)、同元帳一綴(同二九)、請負工事台帳一冊(同三〇)、手形貸付元帳綴一綴(同三一)、貸付金元帳四枚(同三二)、同元帳二枚(同三三)、特殊貸出管理簿一冊(同三四)、青色申告者書類綴一冊(同三五)
(法令の適用)
被告人らの判示第一の各所為は、刑法六〇条、所得税法(昭和四〇年法律第三三号)附則三五条、同法による改正前の所得税法六九条一項に、判示第二の各所為は、刑法六〇条、所得税法二三八条一項にそれぞれ該当するので、いずれも懲役刑および罰金刑を併科することとし、以上の各罪は、刑法四五条前段の併合罪であるから各懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により犯情の重い第一の(一)の罪の刑にそれぞれ法定の加重をし、各罰金刑につき同法四八条二項により所定の罰金をそれぞれ合算し、以上の刑期および合算額の範囲内において、被告人両名を各懲役四月および罰金一〇〇万円にそれぞれ処し、換刑処分につき各同法一八条、懲役刑の執行猶予につき各同法二五条一項、訴訟費用の負担につき各刑事訴訟法一八一条一項本文、一八二条をそれぞれ適用し、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 新穂豊 裁判官 鈴木悦郎 裁判官 古城敏雄)
貸借対照表
昭和39年12月31日現在
<省略>
貸借対照表
昭和39年12月31日現在
<省略>
貸借対照表
昭和40年12月31日現在
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>